コロナ禍の対応でわかること
このコロナ禍という特殊な非常事態にあって、今年、小学校受験を迎える皆さんは、本当に大変で、不安な状況におられることと、同じ小学校受験を経験した一人の親として、心中お察しいたします。オンライン授業で対応しているお教室もあったようですが、うちの息子の場合は、本格的に小学校受験の準備を始めたのは昨年の3月だったので、もし今年が受験だったら、恐らく緊急事態宣言が出された時点で、小学校受験の準備が間に合わないと、あきらめていたと思います。
ただ、このコロナ禍という状況で各学校がどのような対応をしていたかについては、各学校のホームページのお知らせなどを見てみると、おおよその内容を知ることができます。説明会などだけでは分からない、こうした、非常時に学校側がどのような対応で子供の教育の機会を維持しようと努力しているかを知ることは、受験する側が、受ける学校が本当に自分たちの価値観や条件に合っているのかを見極める上で、とても良い材料になるのではとも思います。
メディアの報道などでは、私立の学校はオンラインで授業をしているけれど、公立はプリントを送付するだけ、といったようなことがよく伝えられていましたが、実際には公立でもオンラインに対応していた学校はありますし、ほぼ全ての私立の学校が実施していたとされているオンライン授業にも、私が調べた限りでは、主に以下3種類の実施形態に分かれていました。
- 学校の専用サイトに入って、教材をダウンロードとして、生徒が自主的に取り組む
- 上記1に加えて、先生の授業などの動画が提供されていて、生徒がそれを視聴する
- Zoomなどのオンライン会議ツールを使い、先生対生徒の、通常教室で実施する授業とほぼ同じ双方向の授業をオンラインで実施
この中で、提供される授業形態として一番望ましいのは、おそらく一番本物の授業に近い3だと思うのですが、このコロナ禍で3の対応ができた学校には、少なくても次の2つの条件が揃っていたことになります。一つ目は、学校側が生徒にタブレット等を貸し出すなどして生徒側がオンラインを受講できる環境があり、なおかつ、授業する側の先生にもITスキルがあったこと。そして二つ目には、オンライン授業の間、保護者が子供に付き添い、サポートできる家庭であったことです。
特に一つ目の点は、その学校が教育においてITを活用することを重視しているということで、時代に合わせて教育の内容を見直し、柔軟に対応する姿勢がある学校と言えるのではと思います。特に、先生方が、自分の専門とする教科以外の分野、それもITという全く専門外のスキルを身に着けるには、自助努力だけでは難しいですから、時代に柔軟に対応するために、教師のスキルの幅を広げるといったところにも熱心な学校と言えるのではないかと思います。
次に二つ目の点ですが、高学年のお子さんであれば、保護者がいなくても一人でオンライン授業を受講することはできるでしょう。でも、低学年、特に1、2年生の場合は、保護者の付き添いがなく、オンライン授業を受けることは難しいと思います。保護者が日中、毎日子供のオンライン授業に付き添えるということは、やはり、こうした私立小学校では、お仕事を持たれていないお母様が多いかもしれません。あるいは、家が自営業などで時間の融通をつけやすいか、コロナ禍でテレワークになった企業も多かったので、そうした企業にお勤めのご家庭だったとも考えられますが、いずれにしても、平日、日中の時間帯に、子供の授業ために予定を空けられる保護者が最低一人はいるご家庭、であったことは間違いないです。
私個人としては、このように双方向オンライン授業を実施した小学校で、「子供に付き添える保護者がおらず、授業に参加できなかった」というご家庭はなかったのかな、という点に関心があります。私がもし今年受験だったら、その小学校の説明会、あるいは面接などの機会に、是非質問してみたかったことの一つです。