保育園児の弱みと強み

最近の小学校受験では、保育園児の受験も増えてきていると、お教室探しで回ったところの先生や今のお教室の先生からも聞いていましたが、少なくても息子の進学した小学校(の息子のクラス)では、圧倒的に幼稚園卒のお子さんが多い印象です。息子が通ったお教室は土日も授業が充実していたため、私たち親子は土日を中心に授業を取っていましたが、土日に来ているほかのお母様も仕事を持っている方が多いかと思いきや、そうではなく、下のお子さんや上のお子さんがいる都合で平日授業に来られず、週末はお父さまに兄妹児を預けて来ているという事情の方が大半で、そのお母様のお子さんたちもほとんどが幼稚園生でした。

夫が亡くなるまでは、私は息子を幼稚園に通わせようと思っていたので、近所の幼稚園を見学に色々回っていました。なので、私自身は、息子は結局幼稚園には通わせませんでしたが、今の幼稚園がどんなことをやっていて、どんな様子のところなのかは、わりと知っていると思っています。

私が幼稚園に息子を通わせたいと思ったのは、私自身も幼稚園に通って楽しかった思い出があるのと、何となく、昔の古い「単に親が忙しく預かってもらうだけ」の保育園のイメージがあったからです。ただ、夫が亡くなり、私が仕事復帰を早める必要に迫られてから近所の保育園を見て回って初めて、息子が通った保育園もそうですが、最近の保育園は単に子供を預かるだけでなく、幼稚園と同じようなイベントもあったりして、今はかなり教育的要素が取り入れられている保育園もあることを知りました。認可保育園や認証保育園では、特にこうした傾向が強かったように思います。

でも依然として、保育園と幼稚園とは大きく違うと私が感じている点が一つあります。それは、園で過ごす時間の子供の自由度です。幼稚園は、教育という位置づけで文科省の管轄ですから、幼稚園で学ぶべき決められた何等かのカリキュラムや達成目標があります。そのため、子供がやりたいかやりたくないかの意思に関わらず、その目標を達成するために園の決めた内容を、先生の指導のもと子供がやらなければならない、という経験をすると思います。

一方、保育園は福祉という位置づけなので厚生省の管轄ですから、「子供を安全に預かる」ことが最大の優先事項で、何か子供に教えたり、指導したりすることについては、その園独自の意向に依存しているところが大きいと感じます。息子の通った保育園でも、オプションで取った体操クラスなどでは何かを「習う」機会を得られますが、保育園にいる時間の大半は、「自分で居場所を見つけて遊んで過ごす。」ことが主体でした。これはつまり、「自分が面白そうだ。」と思うことだけを自ら選んで過ごせる時間が長いということで、例えば極端な話、遊びたくないお友達とは遊ばなければいいし、やりたくない遊びには参加しなければいい、という選択ができる状況にあることを意味します。

こうした、自分の嫌なことを避ける能力や、集団の中で自力で自分の居場所を見つける能力自体は、この先の人生、生きていく上では役に立つかもしれませんが(笑)、小学校受験ということで考えてみると、こうした保育園で許容される子供の自由度が、息子が行動観察が苦手だったり、最初のころ、先生の指示を聞き取って何かをすることが苦手だった一つの大きな要因だったと感じています。

これはどういうことかというと、行動観察では基本的に、「決められたグループで、指示されたことを、みんなで協力してやらなければならない。」ことが求められます。これは、息子が普段、保育園で過ごしている過ごし方とは真逆のことです。というのも、自分の意思でお友達も選べなければ、自分がやりたくなくてもそこで参加してやらなくてはならない、からです。また、先生の指示を聞き取るのが最初苦手だったのも、保育園では先生の指示で何かを学ぶ機会は多くありません。

先生の指示の大半は、何かを学ぶというよりは、食事の前に手を洗うとか、靴は玄関に置くとか、集団生活のルールを教えるための指示がほとんどです。その点、幼稚園では、例えば工作の時間などで、先生から作り方を習い、先生の指示通りに自分でやってみる、といった基本的な指示行動の経験を積める園が大半です。もちろん、保育園の中には、工作などの時間を取って、幼稚園のように先生が教えている園もあるのかもしれませんが、息子の通った園では、そもそも人数分の座席がなかったので、そうした機会もありませんでした。

小学校受験における行動観察と先生の指示を聞く力を養うという意味では、私は、保育園より幼稚園に通わせた方が良いと思います。でも、その一方で、保育園生が優れているところもあります。それは「生活の巧緻性」です。息子は、服を畳む、ハンガーにかける、ものを何かにしまって片付ける、ボタンをつける、ふとんを敷く(笑)、紐を結ぶ・・・といったいわゆる生活に関わる作業については、保育園に通わせるために早くから身の周りのことを自立してやらせるようにしたためその能力はお教室でも抜群に高くて、先生にいつも褒められていました。(笑)

最近は、こうした生活力を見る試験を出す小学校も増えているようなので(有名W小学校では、息子が受ける一年前にお友達とふとんを敷く問題がでたとか)、もしこうした試験の比重が高い小学校の受験を考えるのなら、保育園もお勧めです。(笑)

私がもし、小学校受験をする前提でやり直すとしたら、こども園など預かり保育が付いている幼稚園を探して入れるか、そこに入れなくて保育園に行かせることになったならば、年少からお教室に通わせて、保育園だけでは足りない部分を経験できるようにすると思います。😀