ひとり親家庭であることの伝え方

「私立小学校に行かせようと思。」

と、私の母に伝えたのは、息子と私がお受験勉強を始めてからしばらくたった、

年長7月の、ちょうど夏季講習が始まる一週間ほど前でした。

私の両親は、一応、健在で同じ都内に住んではいますが、

私が住む所とは離れていたのと、両親ともに慢性の疾患を抱えていて、

自分たちが日々、生活するので精一杯の状況だったので、

私の方からも、できる限り両親には頼らないようにずっと過ごしてきました。

夫の死後、両親(特に母親)は、

「都心でこの先働きながら、一人で幼い子供を育てるのは大変だから。」

「困ったときはいつでも(実家に)頼るか、(息子とともに)帰っておいで。」

と言ってくれていました。

ありがたくて、私も当初はその言葉に甘えたい気持ちがあったのですが、

息子は自分の子供なのだから、どんな状況でも自分がしっかり育てなくては。

という思いから、各種外部サービス(ファミリー・サポート等)の力を借りながら、

実家にはできる限り頼らず、それまでやってきていました。

しかし、

お教室に通い始めて夏期講習が始まるまでは、

授業が週末だったため、私の仕事と両立ができていましたが、

夏季講習は平日の日中にもずっと授業が入るため、

私が仕事のお休みを調整したり、シッターさんを手配しても手が足りず、

仕事とお教室通いの両立がかなり難しい状況になっていました。

今回ばかりは実家を頼るしかないと、夏季講習が始まる一週間ほど前に、

「〇〇(息子)に私立小学校を受験させようと思っているんだけど

私の手が足りない一週間だけうちにきて、〇〇(息子)の送迎をお願いできないかな?」

と母に頼んでみました。

すると、母から、「喜んで協力するわよ。」という心強い返事が返ってきました

母の体調がちょうど落ち着いていた時期だったのも幸運だったと思います。

そういうわけで、夏季講習のうち私やシッターさんでは手が回らない最後の一週間は、

母がうちに泊まりに来て、息子の夏季講習の送迎と勉強につきあってくれることになりました。

息子はお教室の夏季講習の間にすごく力がついたので、

息子が希望の学校からご縁を頂いて今、こうして通えてるのは、

私の親の協力も大きかったと思っています。

受験も終わり、進学先が無事決まって迎えた今年のお正月、

実家を訪れた私に、父が心配そうにこんなことを言いました

「〇〇(息子)ちゃんは、本当に合格して良かったね。でも、

その学校で母子家庭は少ないだろうから、〇〇ちゃんが肩身の狭い思いはしないかな?」と。。

確かに、私立小学校に進学するご家庭の大多数が両親揃う中

人だけ父親がいない、という状況になる可能性が高いでしょう。

でも、父親がいないのは、息子も私も、好きでこうなったわけではありません。

私のように死別ではなく、離婚でひとり親になったお母様だって、

やむをえない事情ができて

子供の幸せのために別れる選択をせざるを得なかったのだと思います。

そして、母親の私が自分で働いたお金で息子を私立小学校に行かせるのですから、

「父親がいない」というだけで、息子が「肩身の狭い思い」をする必要は、本来ないはずです。

私は息子には、「父親がいない」ということに劣等感を持たせたくなかったため、

保育園の時から、お友達からもしお父さんのことを聞かれることがあったら、

自分の口で、「僕が赤ちゃんのときに死んでしまって、うちにはいない。」と

堂々と答えなさい、と教えてきました。

一方の私は、今、小学校に入学して、何人かのお母様と親しくなりかけていますが、

「ひとり親家庭」であることは自分からは言っていません。

会話の中で、なんとなく気づきだしているお母様方も恐らくいるとは思いますが、

誰もそこは聞いてきません。(笑)

「多分、聞いたら悪い。」と思っているのでしょう。

これまでもそうですが、私が自分からひとり親であることを

回りに自分から言い出さないのは、その事実を隠したいからではなく、

「打ち明け方がとても難しい。」からです。

これまでも親しくなりかけたお母様に、

「うちはひとり親なんです。夫とは死別で・・・」と正直に打ち明けたら、

その場に不幸で、なんだか「お気の毒、かわいそう。」みたいな重い空気が流れて(笑)、

それ以降、その方たちとはなんとなく親しくなれないという経験をしました。

かといって、

「うちはひとり親なんです。」だけ伝えると、それはそれで、

なんか事情持ちなのかな。これ以上、聞いてはいけなそう。

みたいな流れで、気を使われてしまいます。

でも、子供はわりと無邪気に、「〇〇くん、お父さんいないの?」と

ストレートに息子に聞いてくるので、そこで息子がはっきり答えると、

大人同士の会話で生じるような、面倒な気遣いは生じません。

お友達を通じてその子の親にも自然に耳に入れば、

「気まずさ」なしに、ひとり親である事実が伝わります。

まだ息子は今の学校でお父さんのことを聞かれる機会がないようですが、

私のためにも(笑)、できるだけ早くに、息子が答える機会が訪れればいいな

と思っています。

息子も今はまだ小さいのであまり深く感じていないですが、

この先、父親がいないことで悔しい思いをすることもあるでしょう。

学年が上がれば、いじめのネタにする子もいるかもしれません。

でもそれは、私立であろうと、公立であろうと、起こり得ることです。

「父親がいない。」ということは、息子にこの先ついて回る事実なのですから、

「いなくて何が悪い。」ぐらいに開き直って、たくましく生きて行って欲しいものです。(笑)

ただ、息子が進学した学校は、ひとり親の事実を知った上で、合格を下さった学校です。

しかも、親も面接を経て学校側が選んだ方が来ているのですから、

そうした偏見に惑わされずに、親子でお付き合いできる方もきっといるはず、

と信じて、過ごしています。